堤防を破壊する「ヌートリア」特定外来生物に指定される穴掘りネズミ

涼しい季節がすぐそこまで来ており、過ごしやすい日が多くなってきましたね。
過ごしやすい気候になると、気分転換に少しだけお散歩に出かけるのも楽しくなりそうです。
今回はそんなお散歩先でも出会うかもしれない生き物のお話。
特定外来生物にも指定されている「ヌートリア」という生き物についてお話していきたいと思います。
特定外来生物ってなに?
この世界には、私たち人間の他にも様々な生物が住んでいます。
各国によって固有の生物がいたり、環境の変化によって固有の生物が別の国に旅立ち住処を変えるということもありますね。
元々その土地に生息しておらず、人間の行動によって別の地域からやってきてしまった生物は「外来種(がいらいしゅ)」と呼ばれています。
私たちの住んでいる環境はその土地に生息している様々な生き物によって絶妙なバランスで支えられているのですが、外来種はそのバランスを崩すしてしまう生物として知られています。
この外来種は元々は生息していなかった生物になるので、その土地の生態系のバランスを崩してしまったり田畑を荒らすなど様々な被害をもたらしてしまうことがあります。
外来種の中でも人の生命や生態系・農業や漁業などの農林水産業に被害を与え、外来生物法という法律でその中でも特に問題になっている生物に指定されているものは ”特定外来生物” と呼ばれているのです。
<参考>
・外来生物法-環境省
ヌートリアとは?
皆さんは「ヌートリア」という生き物を知っていますか?
大きい個体だと体長70cm(胴体)・体重7kg程度の大きなネズミのような見た目をしており、小さな手と長いしっぽが可愛らしい生き物です。
水辺でオス・メスの番を中心に小さな集落を作って生息しており、貝・水草や時には農作物までも食べてしまうほど雑食な生き物として知られています。
南アメリカ原産の生物で、毛皮の生産を目的として様々な国に移入されましたが…
養殖場から逃げ出した個体や放逐された個体が野生化してしまい、一度の出産で平均5匹程度生まれるなど繁殖力も高かった為にどんどん数を増やしていきました。
日本では「侵略的外来種」として問題になっており、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律ではヒアリなども含まれる ”第一次指定種” に分類されています。
堤防を破壊するヌートリア
ヌートリアは雑食な生き物です。
基本的には草食で貝・魚やホテイアオイ・ヨシなどの植物を食べますが、稲・大麦や葉物の野菜などを食害してしまうこともあります。
食欲旺盛でとてもよく食べてしまうので、ヌートリアの食べている作物の減少等によって在来種の生態系のバランスを崩してしまうことが問題となっています。
また、ヌートリアは地中に穴を掘って巣を作る習性があります。
ヌートリアの巣は、水辺にある堤防等に直径20~30cm・奥行き数mという結構大きな横穴を掘って、出入口を複数作っているのが特徴です。
ヌートリアが堤防などに穴を掘ることによって、堤防が破壊されてしまうという深刻な被害も報告されているのですよ。
ヌートリアの巣を作らせないために、巣穴を作りそうな水辺の草を刈り取ったりネットや波板を使って防護する等の対策が日々進められています。
<参考>
・野生鳥獣被害防止マニュアル-農林水産省
最後に
今回は「ヌートリア」についてお話していきました。
ヌートリアは可愛らしい見た目をしていますが、野生のヌートリアには餌を与えないよう様々な自治体で注意喚起が行われています。
嚙まれたりすることで怪我をしたり、感染症などの危険性もあるとのことで注意が必要です。
水辺で散歩中に可愛らしい姿を見かけても、近づいたり餌を与えないようお気を付けください。