外壁塗装工事の内訳や各費用項目、安く抑えるコツを解説!
外壁塗装を検討するようになると、気になるのが料金です。
ですが、外壁塗装には様々な工程があり、具体的にどのように料金が決まっているのか、
相場はどのくらいなのか複雑で分かりにくい部分があります。
「相場よりも高い金額で契約してしまった…」
「見積もりをもらったけど内容がよく分からない…」
「安く抑える方法はないの?」
といったお悩みも多くあります。
そこで、今回は外壁塗装で行う様々な工事を工程別に解説し、
各項目や金額の決まり方、安く抑える方法に関してもお話していきます。
外壁塗装工事の流れや工程について
まずは外壁塗装工事の流れや工程に関しての解説です。
基本的には下記の様な作業工程がありますので、覚えておきましょう。
① 現地調査
② 見積もり
③ 足場設置
④ 養生作業
⑤ 高圧洗浄
⑥ 下地処理・補修
⑦ 外壁塗装 下塗り
⑧ 外壁塗装 中塗り・上塗り
⑨ 完了検査
工程別の内容や費用・相場、安く抑えるコツは?
それでは、具体的に前項で解説した項目ごとに
概要や費用・相場、安く抑えるコツなどを解説していきます。
① 現地調査
まずは現地調査の作業についてです。工事を行う際には必要になる作業ですが、多くの施工業者は調査を無料で行っていることが多いです。
調査ではお客様宅に訪問、既存外壁の劣化の状態を確認し、最適なリフォームのためのヒアリングを行います。
また、外壁塗装では塗装面積も費用が決まる要因ですので、メジャーを使用して外壁の面積を測ります。
<安く抑えるコツ・ポイントなど>
しっかりと入念に現地調査を行ってくれる業者を選びましょう。
適当な施工業者は短い時間で調査を終えてしまいます。
そのため、後から思わぬ劣化等が見つかり、追加工事を請求される場合もあります。
目安としては1時間~2時間程度は調査してくれる業者が最適です。
そして、調査の際には立ち合い、外壁の状態について説明を必ず受けましょう。
② 見積もり
続いては見積もりに関しての解説です。基本的には見積もりに関しても、現地調査と同じ様に無料で行います。
この見積書の内容から工事内容が分かりますので、できれば外壁塗装の概要は学んでおきましょう。
そうすれば費用が相場と比べてどの程度なのか、丁寧に対応してくれる業者なのか分かってきます。
見積書では主に下記の様な内容が書いてあります。
チェックすべき点も記載しておりますので、ぜひご覧になってみて下さい。
- 工事内容
→ 詳細まで書いてあるか、本当に必要な作業かを確認しましょう。
- 使用材料
→ 塗料の品名、使用材料名が書いてあるかチェックしましょう。
- 工程別の記載
→ 「一式」などとまとめられて、詳細が不明でないかチェックしましょう。
- 塗装回数
→ 3回塗装が基本となりますので確認しましょう。
<安く抑えるコツ・ポイントなど>
見積書を出してもらう際には必ず複数の施工業者から取りましょう。
「他の業者でも見積もりをしてもらっている」と言えば、価格競争になり安くしてもらえる可能性があります。
ただし、大幅な値引きの場合には、工事自体を手抜きされてしまう可能性もありますので、覚えておきましょう。
また、風災や水災などで外壁が傷んでしまった場合には、火災保険などが利用できる可能性があります。
加入している保険を確認して、施工業者にも適用できないか相談し、安くリフォームできないか検討してみましょう。
③ 足場設置
見積もりが終わりましたら足場設置・組み立てに入ります。
多くの見積書ではこの足場設置の工程から見積書に記載があります。
足場は2m以上の高さで作業を行う際には必要となりますので、
2階まで塗装などを行う際には必ず入っているか確認しましょう。
<相場について>
足場組立・解体などの相場は、大体700~1,000円(1㎡辺り)となっています。
一般的な住宅であれば、10~20万程度になることがほとんどです。
<価格の計算方法>
足場の価格はまず外周の長さを算出し、足場を組む高さ・外壁から少し離して設置しますので、その分の距離も考慮し算出します。
ただし、住宅や周辺環境によっては、上記の計算よりも高くなることがあります。
具体的には下記の様な場合です。
- 足場が組みにくい狭い敷地の場合
- 道路使用許可や占有許可が必要な場合
- 3階以上の住宅の場合
見積書には途中の計算式などはなく、最終的な面積のみ書いてありますので、気になるようでしたら施工業者に確認しましょう。
<安く抑えるコツ・ポイントなど>
足場代はなるべく安く抑えたいかと思いますが、塗装工事の質を高めて、耐久性のあるリフォームにするためにも足場は重要です。
そのため、必要経費と考えておくのが妥当になります。
業者によっては、足場代無料と言って契約を迫る悪徳業者もいますので、口車にのって安易に契約しないようにしましょう。
また、屋根もリフォームする予定がある場合には、一緒に行った方が足場代を節約できますので検討してみて下さい。
④ 養生作業
次に養生作業の費用についての解説です。
養生作業は塗料の付着や作業時の汚れを防ぐために必要です。
塗装しない部分にしっかりとビニールシートやテープを貼り、車用のカバーや住宅を囲うメッシュシートを準備していきます。
ご自宅だけでなくご近所にも汚れや塗料が飛散しないよう、業者がこうした養生の作業を徹底しているか確認しましょう。
<相場について>
養生作業の相場は、大体300~500円(1㎡辺り)となっています。
一般的な住宅であれば、3~5万程度になることが多いです。
<価格の計算方法>
養生の場合には材料費に外壁面積を掛けて算出されます。
建物が大きい場合には、価格も高くなりますのでご注意ください。
<安く抑えるコツ・ポイントなど>
養生も工事には必須の工程ですので、安く抑えることは難しいでしょう。
ポイントは養生する場所ついて、事前に業者としっかり確認することです。
養生の忘れで塗料の飛散が起きないように注意しましょう。
⑤ 高圧洗浄
高圧洗浄作業は外壁塗装において、既存外壁の汚れを落とし、新しい塗料の密着性・耐久性を高めるために必要になります。
この作業を行わないと、汚れの上から塗装を行うことになります。
外壁塗装後、数年で剥がれてしまう不具合になりますので注意しましょう。
洗浄には通常の高圧洗浄と洗浄力の高いバイオ高圧洗浄がありますが、汚れが酷い場合にはバイオ高圧洗浄で洗浄します。
<相場について>
高圧洗浄の相場についてはおおよそ下記の様になります。
- 通常の高圧洗浄 → 100~200円(1㎡辺り)
- バイオ高圧洗浄 → 200~300円(1㎡辺り)
そのため、一般的な住宅ですと通常の高圧洗浄は20,000~30,000円程度、バイオ高圧洗浄の場合には30,000~40,000円程度となります。
なお、水道代は自分で負担する必要がありますので、上記費用に加えて数千円程掛かってくることは覚えておきましょう。
<価格の計算方法>
高圧洗浄の価格の計算も、外壁の面積に1㎡辺りの単価を掛けて算出します。
<安く抑えるコツ・ポイントなど>
高圧洗浄の場合には基本的にバイオ洗浄ではなく、通常の高圧洗浄にすることで費用は多少抑えられます。
また、業者によってはフロートというタンクで、水の出過ぎを防ぎますので、そうした機材を使用している会社が良いでしょう。
⑥ 下地処理・補修
続いては既存外壁の下地処理や補修についての解説です。
経年劣化で外壁は傷んできますので、塗装の前に補修を行うことが重要です。
外壁の下地補修に関しては、主に下記の様なものがあります。
- ケレン作業
既存の外壁・付帯部のサビや汚れを、サンドペーパーや機材で落とします。
付帯部とは屋根や外壁以外の建物部分(雨戸や雨どい、庇や軒天など)のことです。
また、汚れを落とすだけでなく下地をザラつかせて、塗料の密着を良くします。
汚れが酷くなければペーパーによる研磨作業が一般的です。
<相場について>
- ケレン1種【2,800~4,000円(1㎡辺り)】
→ 化学処理やブラスト処理でサビや汚れを取り除きます。
- ケレン2種【1,400~2,000円(1㎡辺り)
→ サンダーなどの電動工具で劣化した塗膜などを落としていきます。
- ケレン3種【600~1,000円(1㎡辺り)】
→ スクレーパーやブラシなどで古い塗膜を除去します。
- ケレン4種【200~500円(1㎡辺り)】
→ サビなどがない場合です。ブラシやほうきなどで清掃します。
<価格の計算方法>
作業面積に1㎡辺りの単価を掛けて計算されます。
- クラック補修
モルタルやコンクリート外壁に起きるひび割れ(クラック)を補修します。
補修はクラックの幅によって「シール充填工法」と「Uカットシール工法」に分かれます。
クラック幅が狭い場合には、シール充填工法でシーリングを充填し補修します。
幅が広い場合には、Uカットシール工法で補修を行いますが、プライマーや電動カッターも使用するため、補修費用が高くなります。
<相場について>
- シール工法 → 300円程度(1m辺り)
- Uカットシール工法 → 1,600円程度(1m辺り)
<価格の計算方法>
シーリング材補修箇所の長さに単価を掛けて計算されます。
- 目地コーキング補修
サイディングボードの間の目地や、窓サッシ周りのコーキングを補修します。
補修方法は古いコーキングを剥がして、新しいコーキングを充填する「打ち替え」、古いコーキングの上から充填する「増し打ち」の2つがあります。
コーキングは防水のために重要な部材になりますので、雨漏りを防ぐためにも定期的に点検を行い、補修をする必要があります。
<相場について>
- 打ち替え → 800~1,200円程度(1m辺り)
+ 1~3万円(既存コーキング撤去費用)
- 増し打ち → 500~1,000円程度(1m辺り)
<価格の計算方法>
こちらも補修箇所の長さに単価を掛け、打ち替えの場合には古いコーキングの撤去費用が加算され算出されます。
- 爆裂補修
建物内部にある鉄筋が錆びることで体積が増加し、コンクリートや塗膜が圧迫されて、表面に割れが起きるのが爆裂です。
補修はコンクリートが剥がれかけている部分などをハツリで落とし、サビ止めなどを施した上で、セメントを使用し成形します。
<相場について>
爆裂補修 → 1,200~2,500円程度(1箇所辺り)
<価格の計算方法>
補修箇所に応じて単価が計算されます。
以上、下地補修の種類別での内容や相場、価格の計算方法について解説しました。
安く抑えるコツやポイントに関しては4つとも共通ですので、下記をぜひ参考にしてみて下さい。
<(下地補修全般)安く抑えるコツ・ポイントなど>
- 安さを理由に簡単な補修方法を行わない
基本的には多少高くても、施工業者が提案した補修方法に従う方が良いでしょう。
安い補修方法では短期的に見れば費用負担が軽く済みますが、長期的に見るとすぐに不具合が生じ、再びコストが掛かります。
- 外壁や建物の点検やチェックは定期的に行う
こちらも非常に重要なポイントです。外壁や建物の点検を定期的に行っていれば、軽微な劣化や損傷の段階で補修できますので、費用負担も軽くて済みます。
外壁や建物の劣化・損傷は放置しますと、大規模な補修工事が必要となり、莫大なコストが掛かりますので注意しましょう。
⑦ 外壁塗装 下塗り
下地補修まで終えたら外壁塗装ですが、まずは密着性や耐久性を高めるための下塗りを行います。
下塗りは後から塗布する上塗り塗料を接着させ、塗りムラを防ぎます。
また、下塗りで既存外壁の色を隠せますので、仕上がりがキレイになります。
下塗り塗料にも『フィラー』『プライマー』『シーラー』などの種類があり、施工場所や用途に応じて使い分けていきます。
<相場について>
- シーラー【700~1,000円(1㎡辺り)】
→ 劣化して傷んだ既存外壁に使用し、塗料の吸い込みを防止します。
- フィラー【700~1,000円(1㎡辺り)】
→ 劣化して傷んだ外壁面を平らにするために施工します。
- 微弾性フィラー【900~1,200円(1㎡辺り)】
→ 伸縮性があり、シーラーとフィラーの性質の両方の特徴があります。
- プライマー【600~1,000円(1㎡辺り)】
→ 吸い込みを防止し、サビを抑えるものもあります。
<価格の計算方法>
施工する外壁面の面積に、下塗り材の単価を掛けて算出されます。
<安く抑えるコツ・ポイントなど>
下塗りも外壁塗装には欠かせない作業工程です。
そのため、作業を省いて安くできませんのでご注意ください。
基本的には後から施工する中塗り塗料や上塗り塗料に応じて、最適な下塗り塗料を選ぶ必要がありますので、業者と相談しましょう。
⑧ 外壁塗装 中塗り・上塗り
下塗り塗装後は乾燥させて、メインの中塗り・上塗り塗料を施工します。
非常に多くの種類がありますので、最適なものを選びます。
種類としては主に下記の様に分けられます。
- アクリル樹脂塗料
- ウレタン樹脂塗料
- シリコン樹脂塗料
- ラジカル制御型塗料
- フッ素樹脂塗料
- 無機塗料
それぞれ単価や性能、耐久性も異なりますので、下記を参考にしてみて下さい。
<相場について>
- アクリル樹脂塗料【1,000~1,600円(1㎡辺り)】 耐用年数:約5~8年
低価格ではありますが、かなり耐久性が低い外壁塗料です。
そのため、現在では外壁塗装にあまり使用されません。
しかしながら、すぐに取り壊す予定の建物の場合や、何度も塗り替えを行う予定であれば良いかもしれません。
また、発色も良いメリットがありますので、屋内で使用するものや、色合いを重視するものに塗装する際には良いでしょう。
- ウレタン樹脂塗料【1,700~2,500円(1㎡辺り)】 耐用年数:約6~10年
ポリウレタンを使用している樹脂塗料です。
ゴムと同じ『弾性』ですので柔軟性があり、微細なひび割れであれば追従して、割れを抑える効果があります。
ただし、こちらも耐用年数はそこまで長くありませんので、同じ予算であればシリコン塗料の方が高耐久ですのでおすすめです。
その他、様々な場所に施工しやすいメリットもありますので、施工箇所によって使用を検討する方が良いでしょう。
- シリコン樹脂塗料【2,500~3,700円(1㎡辺り)】 耐用年数:約10~15年
シリコン樹脂塗料は汚れにくく、耐久性の面でも優れています。
外壁塗装で一般的に使用されている塗料になります。
最近ではセラミックを含んだ耐久性の高いシリコン塗料も出ており、各メーカーで様々な種類のシリコン塗料が販売されています。
コストパフォーマンスは高いため、外壁塗装で初期費用の安さと耐久性の両方を重視するのであれば、おすすめの外壁塗料です。
- ラジカル制御型塗料【3,200~4,300円(1㎡辺り)】 耐用年数:約12~16年
塗料中の顔料が紫外線に当たり発生する劣化因子が『ラジカル』です。
そのため、ラジカル制御型塗料はその劣化因子を抑えますので、塗膜の耐久性が強い外壁塗料になります。
2010年頃より各メーカーで開発・販売され始めた塗料で、まだ実績はそれほど多くないのが実情です。
しかしながら、高いコストパフォーマンスと汚れの付きにくさ、施工性の良さというメリットもあり、人気が高まっている塗料です。
- フッ素樹脂塗料【3,400~5,000円(1㎡辺り)】 耐用年数:約13~15年
価格は高いデメリットはありますが、その分耐久性はトップクラスで、多くの商業ビルや大型施設にも使用されている塗料です。
近年ではその耐久性から人気が高まり、一般住宅でも使用されています。
防藻性や防カビ性があり、汚れが付きにくいという特性もあります。
初期費用は高くなりますが、耐用年数は長いため、長期間で見ると他塗料に比べメンテナンスコストは安く抑えられます。
- 無機塗料【4,200~5,500円(1㎡辺り)】 耐用年数:約15~20年
外壁塗料の中では一番耐久性の高い塗料の種類ですが、価格も高い点がデメリットです。
最近では「無機・有機ハイブリッド塗料」という、無機の耐久性と有機の柔軟性を併せ持った塗料も人気です。
ただし、かなり長い耐用年数ですので、他の塗装部分とメンテナンスのサイクルが合わず、コスト増になることがあります。
<価格の計算方法>
施工する外壁面の面積に、上記の各塗料別の単価を掛けて計算されます。
<安く抑えるコツ・ポイントなど>
外壁塗料は様々な種類がありますので、ご自身のこれからの生活や生涯設計に合わせた塗料を選ぶことが大事です。
また、屋根のメンテナンス時期とも合うように塗料を選んだ方が、一緒にリフォームできますので足場代なども節約できます。
あとは既存の外壁材との相性もありますので、施工業者とも相談し、最適な外壁塗料を選んでみましょう。
⑨ 完了検査
外壁塗装の工程が終わりましたら完了検査を行います。
この時点で何か不具合があれば確認し、必要であれば再塗装や補修などを行います。
ポイントとしては下記の点をチェックしましょう。
- 塗り残しがないか
- 塗装にムラがないか
- 事前のイメージ通りの色か
- 壁やその他建物に傷や汚れはないか
<安く抑えるコツ・ポイントなど>
完了検査は基本的に無料ですので、価格の心配をする必要はありませんが、必ず不備がないか確認するようにしましょう。
もし見逃してしまうと、またすぐに再塗装や補修を行うことになり、余計に補修費用や足場代などを負担する可能性も出てきます。
各工程の内容を把握することで理想のリフォームに近づきます!
以上、外壁塗装の内訳や各項目についての解説、費用や相場についての説明でした。
非常に多くの工程や押さえるべきポイントがありましたね。
少しずつでも良いので情報を確認し、各工程の内容や費用について、しっかりと確認しておくことが大事になります。
併せて負担を減らすための要点も学んでおけば、理想のリフォームを実現できますので、参考にしてみて下さい!